都市は記憶するギルドグレイドを離れると、都市の記憶そのものが薄れていく。街の格言は、その確認済み現象を反転させる。「お前は都市を忘れる。だが都市はお前を覚えている」。記憶は都市に属するギルドグレイドは、記憶の非対称性によって生き延びている。資料によれば、都市を離れた者はギルドグレイドを忘れ始める。細部は溶け、報告は曖昧になり、ヴェルミルの別地域ですら、誰も自信を持って描写できない「ありそうもない北方港」として記憶される。この作用は分離ノードに結びつけられ、防御の一形態として機能する。王国官僚が得るのは断片、異端審問会が集めるのは部分証言。都市は交易するには十分に存在し続けるが、外部の明瞭な記録へ固定するのは難しい。この確認済み現象に対して、ギルドグレイドの最も示唆的な街言葉が立つ。「去れば忘れる。だが都市はお前を覚えている」。格言の後半は文字どおりの機構として確立していない。それでも、この世界は信じる者へ十分な理由を与える。ギルドグレイドはノードの上に築かれた。分離機械は、元の保持者を失った記憶を保存し、過去の状態を層、残響、ずれた残滓として保持できる。別の資料は、都市そのものを貪欲、儀式、死に反応する生物のように描く。どれも「通りに一つの心がある」と証明するわけではない。ただ、ギルドグレイドでは記憶が人間の直観どおりの場所に留まる必要がないことを意味する。証人が事件を失っても、場所、儀式体系、地下の機械がその痕跡を持ち続けることがある。同じ考えには世俗的な版もあり、アウレリオンでは世俗と形而上学が長く別々ではいられない。狩人は夜の自慢話を口承年代記にする。工房には戦利品が吊られ、黄金秩序は血、支払い、義務を記帳し、秘密評議会は仮面の裏で資料を保管し役割を割り振る。本人が何をしたか曖昧になっても、都市の制度はその行為が残した債務、戦利品、傷痕、契約、空席を保持している。この意味でギルドグレイドは意識を持たずとも「記憶」できる。人生を物、役職、儀式勘定、反復される演目へ外在化するからだ。この伝承が最も興味深くなるのは「白紙の者たち」と並べたときである。彼らは土地固有の記憶も、黄金塵やノードの反復が課す習慣も持たずに来る外部者だ。台本へ完全に書き込まれていないからこそ舞台を見抜き、住民が必然だと思う反復を変え得る。その可能性こそ、『都市は記憶する』を正典ではなく伝承に留める。壁の外で起きる忘却は実在する。ノードと記憶の関係も実在する。都市の儀式的反復も実在する。しかし、それらが「記憶する主体」、独自の意志を持つ都市へ合算されるかは、信念であり、警告であり、そして「ここで起きたことは完全には失われない」という恐れを最もギルドグレイドらしく表した言葉に留まる。